デブ女が恋に目覚める時

初めてのAVの撮影で感じたこと撮影も初SEXも一通り経験した。
前回もいったが、処女を捨てるきっかけになったその時の撮影は正直プレイがスタートすると、何が起こっているのかよくわからないまま時は過ぎ、いつの間にか終わっていた。

初回の撮影はスタジオで行われたが、二回目の撮影は前回とは違った感じで、男優さんの自宅マンションで撮影することになった。
今回はいわゆる「ハメ撮り」というやつで、男優さんが手持ちのビデオカメラで撮影する手法で、視聴者にリアルな感じをだす撮影方法らしい。

簡単な撮影の流れはあらかじめメイクとヘアメイクは事務所で準備して、恋人気分をより出してもらうために男優の自宅に決まったと聞いた。
男優のユウキ(仮名)君は、お茶を出してくれつつ前回の感想をインタビュー形式で話しかけてきた。
このユウキ君、今流行りの草食系男子とでも言うのだろうか、細身で優しそうな雰囲気で全然アダルトビデオに出演するような男優というイメージがない。
私は仕事といえど初めて抱かれた男性であったユウキ君をどんどん意識するようになっていた。
質問をされながら、今回も自然な感じで体に触れられていくと、私はまた体の芯がどんどん熱くなってくるのを感じた。

最初は触られるだけだった私も、今度はユウキ君にリードされながらも「彼の喜ぶ顔を見たい」と懸命の奉仕をしていった。
きっと恋人同士だったら、こんな感じでお互いを求め合うのだろうなと思いながら、私はこの疑似恋愛のような不思議な空気感をいつのまにか楽しんでいる自分に気づいた。

デブを理由に今まで恋愛からかけ離れた私が、彼のビデオを通していろんな人に自分の恥ずかしい姿を見られるのに興奮すらしているのだ。
私ってこんなに性欲があったのだなって今更ながら思った。
デブでも女と見られていることに、嬉しさすら感じていたのだった。

こうして後半分の二回目の撮影が終わった。
初回は少々の痛みと緊張の連続で、何が起こっているのかわからないくらい気持ちがフワフワしていたが、二回目にもなると少し落ち着いて私は彼の部屋で撮影に臨めるようになっていた。

一緒にお茶を飲んで、一緒にお風呂に入って、ベッドでイチャイチャして、彼に抱かれる。
そんな恋人なら普通に行うようなことが、私にとっては全て初めてのことだった。
たとえ、これがアダルトビデオの設定で、疑似恋愛なのだと頭ではわかっていても、私は男優のユウキ君のことが好きで好きでたまらなくなってしまったのだ。

デブにも優しい世界がそこにはあった

今までデブで男性からは見向きもされなかった私の体を、擬似とはいえ愛おしく接してくれる彼に恋をしてしまったようだ。
撮影以外でも個人的に会いたかったのだが、口べたな私はどうしても仕事以外で会う口実を伝えることができないまま、この日の撮影は終了したのだった。

残額の20万円をもらって、計30万円もの高額な報酬をもらって嬉しいはずなのに、何故か彼と会えなくなるを考えると心が沈んだようになった。
後日、パッケージの写真撮影があるかもしれないという話だが、今回の撮影これで全て終了。

あとは撮影したビデオが世に出てからの売上で次回の話になるようだ。
今回の撮影で私は30万円もの大金を手にすることができ、当面の生活が送れることに安心感はあった。
私は処女の価値をお金に換えたのかもしれない。
しかし、それ以上に女として生まれてきた実感を感じられたことはお金とは別の特別な経験だった。

キャバクラや風俗でなんてどうせ働けないといっていた私がだ、たまたまその求人サイトに載っていたプロダクションに応募し、ぽっちゃりAV女優としてデビューするにいたった。
イケメンと初体験を済ませ、さらには高額のお給料も手にした。
人生、まだまだ捨てたものじゃないと思えた。
明日からの生きる力をもらえた。
いろんな意味で貴重な初経験だった。