不安だらけの撮影初日

ドキドキの撮影初日そうこうして、ただのデブの私が、ぽっちゃりAV女優として生きていくことを決意した。
もちろん今も不安は色々あるけれど、後悔はないつもりだ。

プロダクションに所属する契約を結び、いよいよ初撮影の日を迎えることとなった。
普段あんなに大食漢な私でも、当日は緊張で朝から何も口にすることが出来なかった。
ビデオ撮影が初めてなのは当然として、私は男性経験の無い処女の女で男性と触れ合うことすら今までしてきたことがないのだ。
こんなデブな女を抱いてくれる男優はどんな人なのだろうか? 初めては痛くないのか? とか様々な不安と思案が交錯していく。

しかもだ、複数人のスタッフさんが見守る中で裸になってSEXをするのだ。
自分で起こした行動とは言え、デブでも曲がりなりにもAV女優として撮影されるなんて、本当に常軌を逸しているだろう。
そんなことを考えながら私はスタジオまで辿り着いた。
スタジオに入ると今回の撮影のコンセプトを監督さんが教えてくれた。
どうやら、「清純ぽっちゃりのSEX初体験のドキュメンタリー風」というコンセプトでいきたいらしい。

アダルトビデオや風俗の世界はよく「ファンタジーの世界」なんて聞く。
しかも今回は正真正銘の処女の女性がビデオに出るのだから、何もしなくてもリアル感はきっと出るだろうな、と自分が撮影されるのにどこか他人事のような思いで私は話を聞いていた。

撮影は申し訳ない気持ちでいっぱいだった

撮影の場所は柔らかい日が差し込むスタジオで、可愛らしいベッドの上で、インタビューをするシーンから始まるらしい。
メイクってどうするのだろう? と思いながら一応は自分で簡単なメイクはしてきたつもりだったが、撮影の現場にはそれぞれのプロがいてメイクも当然プロの人にやってもらうことになった。

今までお洒落に無頓着だった私は、ヘアメイクを施され、メイクをしてもらい、衣装を着せられ、まるでお人形のようだった。
まぁ、こんなデブの女がお人形みたいだなといっている時点で笑えてしまうことだろうけども。

でも、仕上がった自分の姿を見て少し驚いた。
あれ?いつもと全然違う? いや、太っていることは変わっていないのだが、何故か愛嬌のあるぽっちゃり風な女になっていると思ってしまった。
自分で言うのは変な感じはするのだが。
やっぱりプロの技術は凄いのだなぁと改めて感心した。

冒頭のインタビューは、今までの男性遍歴みたいなことを聞かれたが、どこまで本当のことをいっていいのか悩んだ。
何せ、本当に男性と付き合ったことなんて無かったし、男性に触れられたことすら一度もないわけなのだから…。
私は正直に、男性経験も付き合ったこともないことを話した。
相手の男優さんは、今どきの可愛い系男子のようで、まつ毛が長くフェミニンな感じもしたので、威圧的な感じはなかった。

インタビューをされながら、私は男優さんに少しずつ体を見せていった。
今日初めてあった人に肌を見せて恥ずかしいという思いよりは、こんなデブな自分の相手をしてもらって申し訳ない気持ちの方が強かった。
自然と私は大きな体をできるだけ小さく見えるように縮こまっているような姿勢になっていた。

肌に触れる度に自分の体が熱くなってきて、汗がポタポタと垂れ落ちるくらい出てきて、あぁ、デブはこういう所が気持ち悪いと思われるのだなとしみじみ思った。
気持ち悪がられてないかな? と相手のことばかり気になっている自分が卑屈に思えるあたりがやっぱりコンプレックスのカタマリである私たるゆえんなのだろう。